今日のマーケットにおいては、完璧な衛生管理が消費財の製造および流通に関係する各種産業にとってますます重要な問題になっています。
その中で近年、結果が分かるまでに24時間以上も必要な従来の培養法に比べ、わずか十数秒で結果が確認できる「ATPふき取り検査」は、洗浄後の清浄度や衛生状態の判断に、迅速衛生検査ツールとして、食料品に関わる業界をはじめ、衛生管理の重要度の高い医療分野や、その他の業界へ拡がりを見せています。
ATPふき取り検査方法は、微生物だけでなく生物学的物質(有機物)全てが測定対象ですが、食品工場をはじめとする製造現場では、生物学的汚染があった場合、微生物の増殖を促進させてしまうことから、微生物検査だけでなく、ATP検査を考慮することが重要とされています。
通常の滅菌作業では表面の微生物には効果的ですが、洗浄残渣がある場合は残渣内部の微生物を死滅させるには至らず、残った微生物はそれを栄養分として増殖してしまいます。特にスタンプ法での菌検査では表面菌を対象としているため、上記の問題は見過ごしてしまう可能性があります。
また、菌検査は培養後、結果が分かるまでに24時間以上もの時間を必要とするため、結果と対策が直結しない難点がありますが、ATP量(生物学的物質)を対象とした「ATPふき取り検査」は、その場で簡単・迅速に生物学的汚染結果が分かるため、その場での改善措置や再洗浄などの対策を講じることができる利点があります。
また、海外では不特定多数の人が交差する病院や公共施設のドアノブや手すり、ベッド、スイッチなどを2次汚染のキーポイントとして衛生管理を行う施設が増えつつあります。